イントロダクション

人生、誰もが脇役で、誰もが主役。
	すべての人の心を愛と笑いで満たす、ユニバーサルな人生讃歌。
	万年脇役俳優のヒロシは、職場でも私生活でも脇役キャラ。
	街を歩けば店員、係員、警備員、果ては誘拐犯に間違われ、家では大物劇作家の父から半人前扱いされている。
	そんなうだつの上がらない中年ヒロシにある日、ツキが回ってきた!
	それは新進女優アヤとの恋に、映画主演のチャンス。
	人違いされるのは名優の証しだというアヤの言葉を胸に、ヒロシは堂々と自分の人生を歩んでいくことができるのか!?

華やかなスポットライトが当たらない人生も、違う角度から見れば、様々な喜びに満ちあふれている――。
『脇役物語』は己の存在感の薄さにコンプレックスを抱いてきた男が、恋する相手に近づこうと四苦八苦したり、
主役を掴むために奔走したりする中で本当に大切なものに気づいていくヒューマンドラマ。
人と人のつながりが希薄な現代社会において自分の役割を見失ってしまいがちなすべての人に贈る、
ロマンスあり笑いありの人生讃歌である。

日本映画・演劇界が誇る名脇役の益岡徹が満を持しての長篇映画初主演。永作博美、津川雅彦、松坂慶子ら豪華共演陣とともに大人のウィットとペーソスを味わいたっぷりに魅せる。

主人公の脇役俳優ヒロシに扮するのは、自身も名脇役として映画、テレビ、舞台で幅広く活躍する益岡徹(「チェイス~国税査察官~」『真夏のオリオン』)。突然訪れた恋に動揺しながらも自分の人生を見つめ直していく純粋な中年男の姿を、時にコミカルに、時に哀愁を漂わせながらチャーミングに演じ、観る者の共感と笑いを誘い出す。七変化する表情や佇まいでおかしみを醸し出す様は、まさに性格俳優の面目躍如といえるだろう。そのヒロシが恋に落ちる新進女優のアヤ役には、あらゆる層から支持されている好感度No.1女優、永作博美(『人のセックスを笑うな』『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』)。彼女が本作で演じる前向きできっぷの良いヒロインの魅力には、誰もが虜になること間違いなし! そしてヒロシの偉大な劇作家の父親役に津川雅彦、ヒロシの役者キャリアを左右することになる政治家夫人役に松坂慶子。風格、色気、茶目っ気、すべて備えた大ベテラン俳優たちが放つ存在感は圧巻の一言! その他、柄本明、角替和枝、柄本佑、佐藤蛾次郎、イーデス・ハンソン、江口のりこといった実力派がそれぞれ観客の想像を裏切るユニークな役柄で出演し、画面を賑わせる。

ボーダーレスかつ独創的なコメディセンスに拍手喝采! 世界が待ち望んでいた緒方篤監督の“凱旋”長編デビュー作。

原案・脚本・製作・監督をつとめたのは、これまでビデオアーティスト、俳優、脚本家として米国やヨーロッパを拠点に活動してきた緒方篤。日本を舞台に詐欺師と老女の駆け引きをユーモラスに描いた短編映画『不老長寿』で世界各国の映画賞を受賞して以来、多方面から長編映画監督デビューを待ち望まれていた映像作家である。本作ではよく人違いされる自身の経験を脇役俳優の人生というありそうでなかった題材に昇華、欧米仕込みの軽快なテンポで描き出した。

スタッフには、緒方監督の才能と志とユニークなキャラクター(!)に惚れ込んだ面々が集結。半世紀以上にわたって日本映画界の中心で活躍する白鳥あかねが共同脚本・キャスティングディレクターとして参加している他、『不老長寿』も手掛けたキャメラマンの長田勇市(『ウォーターボーイズ』『幽閉者(テロリスト)』)、海外合作の経験が豊富な宮川絵里子プロデューサー(『キル・ビル』『バベル』)、ロサンゼルス在住の音楽家ジェシカ・デ・ローイ(『ブラッドレインⅡ』)、オランダのアニメーション制作チーム、NYのポスプロ会社シネリックなど国籍も経歴もバラエティに富んだクリエイターたちが集まり、多彩な才能を発揮している。

なお本作は、6月の上海国際映画祭でのワールドプレミアなど、海外映画祭への出品が続いている。万国共通の愛と笑いのメッセージが今、世界に向けて放たれる!